トノサマバッタは、バッタ科の中でも特に飛ぶのが上手い種である。数十メートル飛ぶ姿も珍しくない。
大量発生した群れが、数百キロメートル離れた島まで渡ったのではないか?という記録まで残っているようだ。
バッタとしては並外れた飛翔能力(飛ぶ力のこと)の持ち主なので、素手で捕まえたり近くで観察するのは、なかなかムズカシイ。捕虫網(虫とり網)があると、格段に捕まえやすくなる。網を構えたら、飛んで逃げられないようにそっ~と近づこう。
学名:Locusta migratoria
漢字名:殿様飛蝗
別名:ダイミョウバッタ
大きさ:オス35~50mm メス45~65mm
成虫の見られる時期:6~12月
見られる場所:草原・河川敷
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
ほかにもトノサマバッタを捕まえる方法には、釣りがある。
5~6cmほどの長さの木片にたこ糸を結びつけ、バッタのいそうなところ(もちろんいるのが見えていてもOKだ)に投げる。バッタの気持ちになって小刻みに動かしながら、ゆっくりと糸をたぐりよせていくと、木片にトノサマバッタが飛びついてくるのだ。ここでいきなり引っ張ると逃げられてしまうので、慎重に釣りあげよう。
これは、オスのトノサマバッタがメスに乗っかるという習性を利用した捕まえかたなのだ。だから、この方法ではオスしか捕まえられない。
どうやら、木片は黒っぽいほうが、釣果(釣りの成果)があがるようだ。色々な色で試して、どの色が一番釣れるかを調べてみるのも面白いだろう。
トノサマバッタは、イネ科を中心とした植物を食べるので、それらが生えた草原などで観察できる。草が密集しているよりも、所々に土が見えるまばらな草地の方が好きなようだ。
もしも、トノサマバッタに近づきすぎて逃げられてしまっても、写真のようにまわりの植物に掴まっていることもある。よく探してみよう。
トノサマバッタの頭部をアップにしてみた。トノサマバッタには、なんと眼が5つもあるのだ!
小さな眼がたくさん集まった複眼が2つと、その複眼の少し内側に1つずつとおでこのあたりに1つ、合わせて3つの単眼がある。
複眼では物の形を、単眼では光の強さを見ているようだ。
よく似ているクルマバッタやクルマバッタモドキとは、背中の凹み(写真をよく見てみよう)があるかないかで見分けられる。
茶色の終齢幼虫(幼虫の最終段階で、あと1回脱皮すれば成虫になる)だ。バッタの形していても、翅が短くて腹部が丸見えになっていれば、まだまだ子どもなのである。
さて、ここまでの写真を見て、何か気になったことはないだろうか?トノサマバッタの体の色って何色なんだろうか、と。
じつは、トノサマバッタの体色には、緑色や茶色・黒っぽいといった変化があるんだ。果たして、この体色の変化にはどのような意味があるのだろうか?トノサマバッタを観察しながら、考えを巡らせてほしい。